マドリッドは初めてということでかなり色々と下調べをした管理人である。その中で是非とも訪れたいと思ったのがBotinという今年で創業300年のギネス認定された「世界で最も古くから営業しているレストラン」であった。このレストランの目玉メニューは仔豚のローストである。
仔豚のローストと言えば我が家でも毎年のように年越しに焼いていた訳であるが、なんといってももう流石に家で仔豚をローストして食べ切れる年齢ではないので何年もご無沙汰していたのであった。仔豚は美味しい。実に美味しい。ああ、あのカリッと焼き上がった皮をもう一度。というわけで行く気満々で5月の旅行用に1月に予約したのであった。大変な人気店なので予約しないとまず入れないのである。しかも、管理人夫婦はただの予約ではなく、開店1時間前からの店内ツアーのついたセットメニューを申し込んだのであった。
当日、店へ行ってみると店内ツアーは管理人夫婦だけであった。
ガイドさんはイギリス英語を話す30代後半ぐらいの女性で、くまなくレストランの歴史やら建物の構造やらを説明してくれたのであった。
この部分はレストランの中でも最も新しい部分なのだそうな。何もかもがすでにアンティークであった。 |
店の心臓部とも言える薪オーブン(右側)とすでにローストされた仔豚の開き。創業以来火を絶やしたことがなく、コロナ禍で閉店していた際も従業員がかわるがわるやって来て火をくべていたのだそう。窯が冷えてしまうとヒビが入ったりしかねかいということであった。窯の入り口は小さく見えるが、この仔豚の皿が40枚一度にローストできる奥行きのあるものなのだそうだ。 |
このレストランは人気過ぎて100以上のテーブルがあるにもかかわらず1ヶ月前でも予約が取れないのが普通なのだそうで、その数の仔豚のローストを注文を待って焼いていたのでは間に合わないのであろう。仔豚は1匹3kgほどの小さなものである。塩とオリーブオイルと香草だけでローストするのだという。
実はこのレストランは作家のヘミングウエイがマドリッド滞在期間中に常連客だったということで、彼の定席というのがあるのである。ダメ元で開店前店ツアーのガイドさんにヘミングウエイの席で食べたりできますかね?と聞くと「もちろん!あなた達が今日の最初のお客さんですからどの席でも選べますよ」と言って早速手配してくれたのであった。ヘミングウエイの「日はまた昇る」の中にこのレストランをモデルにした部分が出てくるのだそうな。
そのほかにも有名人が多数来店したということで英国のチャールズ国王が皇太子時代に訪れた時のサインやらも飾られていた。
さて、店内ツアー付きのセットメニューは実に盛りだくさんでメインの仔豚のロースト前に前菜が4品出てくる。さらにワインも二人でまるまる一本、そしてデザートも付いている。どれも昔ながらのスペイン料理で美味しいのだがいかんせん量が多い。メインの仔豚のロースト用に胃袋の隙間をセーブして前菜達は半分以上残さざるを得なかった訳である。そして、メインを食べた後にもうデザートなんて無理無理ということで店員にデザートはいらないと伝えたところ、
味見だけでもしてください、チーズケーキひとつお持ちしますから。
というので恐る恐るチーズケーキを味見してみると、これがもう絶品なのであった。いわゆるバスクチーズケーキなのだが中がとろっとろである。そして何ともこれが赤ワインに絶妙に合うのである。実際、仔豚のローストよりこのチーズケーキの方がこの店の名物なんじゃないかと思うぐらいであった。
接客もとても丁寧で大変満足であった。
4 件のコメント:
いやそのレストランでのお料理、雰囲気まで伝わる描写で味的には特に言及されていなくても十分に召あがられたモノの光景味覚が心に浮かびました。
肉食文化とはもうしますがオーストラリア滞在中からあの欧米系人種が示す肉料理の食べっぷりは物凄いものがありますね。三キロの子豚の丸焼きで二人前、一人当たり1.5キロその半分が骨としたって正味750グラムのロースト。「わたしゃもう死ぬよ」という迫力、そこへ持ってきてデザートのケーキですか、「美味しいですからぜひお試しあれ」そりゃボーイさんはそうおすすめになりますわなぁ。
ススメに乗ってデザートまではこばせてスプーンを手にした管理人さんも偉い。
おまけにその絶妙なバターとクリームとスポンジのバランスを味わい分ける余力を掻き立てた管理人さんにはほとほと頭が下がります、おまけにケーキと赤ワインの相性まで、まさに偉大なる晩餐の一夜でありましたでしょう。
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管理人さん こんにちは。鯵の開きならぬ仔豚の開き これが頭から離れなくなってしまいました。丸焼きでも開きでも顔が付いているので引いてしまいそうでした。でも管理人さんのコメントを読み進むと美味しいワインとお料理を食べているような気分になってしまいました。赤ワインとデザート 甘いお菓子 合うんですよね。二人で1本で収まったのはご立派。もっと飲んでしまいそうです。
こんにちは、さんさん。
実際に食べた仔豚のローストの写真をUPし忘れました。一人分は切り身です(笑)1匹まるまるは6人分らしいです。でも仔豚って実は筋肉少ないんですよ。皮下脂肪っていうかすごく柔らかい脂身が多いので一切れでも結構来ます。チーズケーキは本当に薦めてもらって良かったです。重めの赤ワインの渋味とよく合うんですよ。
こんにちは、紫陽花さん。
ええ、開きなんです。私が調理するときは子豚が5kgぐらいの大きさなので開きにする発想もありませんでした。いや、実はコースに含まれるフルボトルの赤ワインに加えてハーフボトルを追加しました。でもお勘定にそのハーフボトルが書かれていなかったので指摘したのですが、「いいです、サービスさせてください」とご馳走してくれました。
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