ラトビアではいろんな場面で蝋燭に火を灯す。
一番有名なのはクリスマスツリーに本物の蝋燭を灯すというやつである。ちゃんともみの木用のキャンドル立てが売られていてそれをもみの木の枝に固定してキャンドルをもみの木の枝の上で灯す、というものである。そんなことして火事にならないのかとご心配の方も多いと思うがご心配なく、ちゃんと一定数のボヤは毎年起こるのである。
そのほかの場面でもキャンドルに火を灯すことは多い。
ホームパーティだったりちょっとくつろいだりする場面でも蝋燭に火を灯してちょっと特別な雰囲気を演出したりするのである。だが、一つだけ別の雰囲気の場面もある。それは誰かが亡くなった時とか命日とかである。
今日、旦那の従兄弟が亡くなったと知らせが来た。
彼は69歳であった。数年前に脳梗塞で倒れてそれ以来施設で過ごして来た。若い頃はバイクや機械などを修理したりするのが得意で腕っぷしが強く、旦那は小さい頃彼にいじめっ子から守ってもらったということである。若い頃にベラルーシとの国境近くの大農園を受け継いだ彼は結局それを全部切り売りして飲んでしまった。全てを飲み尽くした後は誰も彼に近寄ることはなく、別れた奥さんとも子供ともほとんど縁が切れてしまった。たった一人の子供も今は外国に移住して彼の臨終には施設の人だけが立ち会ったのだということである。
倒れる前まで管理人夫婦は毎夏に彼を訪ねていたものである。それは旦那の母であるママが彼のことをいつも心配していたからである。
今日はずっとろうそくに火を灯す。
この火が視界に入るたびに彼を思い出す。彼の笑顔、彼の優しさ、彼の強さ、彼の憂い。様々なシーンが蘇るのである。
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