先日、もらってしまったグラントの報告書を書いて、万事いい具合に収まって安堵している管理人である。たった1年間のグラントだったが、その1年間、院生さんにはガッチリ給料が出たし、管理人もちょっぴり給料が上がったし、研究に使う試薬関係はちょっといいものを使うことができて、そのおかげで院生さんのモチベーションも上がり、ガリガリ実験してくれて、いい結果が出た。さらに、グラントをとってきたということが大学側の評価につながり、結果、向こう2年間は管理人の給料が20%増しという具合である。日本では一度も科研費をとれたことがなかった管理人としては、まあ、何かの間違いでこのグラントが当たったのだと思っているわけである。いやー、ラッキー。
ところが、今日、思いがけないメールを受け取った。
それは、欧州内のグラントで、複数国の協力の元で大きめのプロジェクトを申請するもので、その癌関係のプロジェクトに加わってほしいというものであった。一緒に申請しようよ、というお誘いなので通るかどうかはわからない。だが、管理人ごときの研究規模では自分でプロジェクトを立ち上げて申請するには大きすぎな予算のもので、どこかのプロジェクトに仲間に入れてくださいとお願いできるタイプのものでもない。それが名指しで加わりませんか?と来た。しかも管理人がここ数年力を入れているカテゴリーである。
まじですか?
よかった。本当に欧州に来てよかった。日本だったら絶対にこんなこと起こらない。日本にしがみついていなくてよかった。もうすぐ57歳になる管理人にもチャンスをくれるんだ!このグラントが通るかどうかはわからない。東ヨーロッパの国の研究機関を加えれば通りやすくなるという話ではあるが、それでも声をかけられただけでなんだか感無量である。ちゃんと成果を上げれば誰かの目に留まり評価される世界があるのだと嬉しくなったのである。
10 件のコメント:
ほんとに人間は一人では生きられない動物なんだ、と言うこと。自分ではできないことを人が助けてくれて、という場合だけじゃなくて今回のお話の様に己一人では手に余る大きな課題であっても何人掛りかで手分けして仕事する、そんな共同作業に「一緒にやらない?」と声がかかる。
嬉しくて幸せでほかほかしている管理人さんのお顔が目に浮かびます。
しかしなんで日本の学会はそう言う具合には話が進まないんでしょうねぇ。やはり文化人類学的に言えば小麦よりもはるかに単位面積あたりの収量が多い水稲栽培、と言うことは土地に縛り付けられる代わりに多くの人口が養える、その代わり水の管理が難しいので一人の親分の命令で皆が動く上下関係ができる…何千年もそれで生きてくると上下の関係があるのが当たり前、自分の頭でものを考える個人は異質者として排除される…様な集団的個性が出来るになる、と言うところでしょうか。それはそれで決して間違った集団の生き方だ、と言うことはないのですが同時に人間は個性がある、みんな個性がある。機械ではないんだと考えると…
先月オーストラリアの建国記念日、国旗掲揚と儀仗隊の行進がテレビで放送されていましたが
なんか統一感が足りない、儀仗隊のくせしてどこかテレンコテレンコした感じがある、その何日か後北朝鮮の同じく儀仗隊の行進が放映されましたがこっちはもう、もう機械の集団といってもよろしい。
ははぁ、これこそオーストラリアのオーストラリアたる所以であるわいと、兵隊を訓練する士官も見ている方も誰もあの歩き方に違和感を持たない、逆に個性がある一人一人を一つの型にぎっちりはめ込むのは間違っている、と思っているのではなどと思いましたですよ。
一つの人間の集団が積み重ねた経験を煮詰めて発酵させたものが文化である、集団の大小は関係ない、と教わった文化人類学の講義を思い出して”俺、オーストラリアに家出してよかったなー”と。
管理人さん、ただただ、おめでとうございます。管理人さんがラトビアにお嫁さまに行かれなければ、たくさんのお話を聞くことも、やりとりさせていただくことがなかったのだろうなぁと思うだけに、私も一緒に喜ばせていただきます。本当にすごいなぁ!
寝食忘れるくらいのお仕事されて、評価される。正しいことが日本では難しいのですね。世のため人のため、いや仕事は自分のため。昨日は定時で退勤して、気分スッキリでした。
> 東ヨーロッパの国の研究機関を加えれば通りやすくなるという話
EU12以降の加盟国の研究機関を入れたプロポーザルは通りやすい、女性が50%に近いのも... いろいろ言われていますが、そこCallの際の風を読まないとならないので、大変です。
一応、審査は匿名となっていますが、匿名なのは審査する側だけで、最後の決定には政治的な意思が入るので。
EU National Contact Pointと仲良くしておいてください。いろいろな情報が貰えます。
しかし、給与の20%増は良いですなぁ。ウチの場合、インセンティブは獲得したEU Grantの自大学の取り分の0.5%くらいですから。
管理人さんごときが・・・じゃないんですよ。十分能力があるのに日本では閥とか女性とか諸々の縛りで能力ある人を埋没させているんですよ。だから頭脳流失。息苦しい母国に見切りをつけて海を渡ってしまう人が続出するのだと思います。さんさんの指摘のように意地の悪さがこの国には流れてしるのかもしれません。
管理人さんがビビッときて決断してラトビアに定住することになり、そして管理人さんの秘めたる力が様々なことで花開きラトビアでの生活を楽しんでいらっしゃるのを知ることが嬉しいです。
こんにちは、さんさん。
これから日本の研究環境も変わっていってほしいなあと切に思います。
ラトビアで研究を再開して思うことは、アイデアさえあれば割と皆さんノってくれるということです。日本の大学ではアイデアを出してもまあお金がなさすぎて何もできないという感じでしたね。なんていうか、おじさん社会なんですよね、日本は。もう流石に変わっていてほしいですが。
ラトビアにも意地悪な人は普通にいますよ。ただまあ、みんなが一緒に一糸乱れずっていう感じにはなれないでしょうねえ。
こんにちは、megmeg殿。
いやはや、まだ一緒に研究費の申請だそうよ、というお誘いを受けただけなので、研究費が通るかどうかは全くわかりません。通ったら、結構大きい顔できます(笑)。
日本人は誰も彼もが細かく頑張りすぎて、働きすぎになってしまいます。もっと働かない時間を沢山持つべきだと思います。定時で上がるのが普通、になってほしいですよね。
こんにちは、現役lecturerさん。
了解です!いつも情報ありがとうございます。女性比率も言われているんですね!
うちの大学、ランキングをあげたくて必死らしくて、教員、研究者などにランク制度を導入して、3年間で論文何報とかグラント取ったか、h-indexどれだけあるか、学部長とかやってるか、とかで点数をつけられてその総合で給料据え置きとか何パーセントアップとかの査定を毎年やるんですよ。なかなか世知辛いです。
こんにちは、紫陽花さん。
ありがとうございます。ラトビアは女性研究者の方が数が多いのでとても働きやすいです。日本はおじさん社会なのでそれがネックですね。
ビビッときたら即行動は多分一番重要かなと思います。それが人生を面白くしていくんだと思います。失敗しても面白い。そういうことが許容される日本になってほしいなあと心から思います。
ウチの大学でも、毎年、努力目標を作らされ、それを基に査定されています。結果が良くても、定期昇給が止まらないで、クビにならない程度です。昇進は、ランクとポストが少ないんで機会は少ないし。
EUプロジェクトでおカネは入りますが、論文は出しにくくなります。小さいプロジェクトでも10人近い参加者は居ますので、分業しても、論文の執筆者の数が片手で済まなくなります。大学側から「貢献度は?」と言われてしまいます。ですので、社会貢献度、国際交流実績、インパクトの方で、時間の使い方の正当化をしないとなりません。
また、場合によってはEU側に論文発表の許可を取らなくてはならないので、契約に盛り込んでおく必要があります。学会に出席するコストもプロジェクト予算に計上することもできますが、EU外で開催の学会の場合、特別な許可が必要な事もあります。
こんにちは、現役lecturerさん。
いやはや、どこもかしこも査定だらけですね。一昨年ぐらいからラトビアの文部省が教授准教授の再選出(6年ごと)の基準を厳しくしたので、再選出基準を満たせなくて困ってる人が結構出ているようです。
ああ、ありますよね、著者が一ページぐらい占めちゃう論文。私たちの分野だと国際交流でとにかくサンプル数を厚くして大きめの論文を一発ドカンと出してめでたしめでたしが多いようです。論文発表の許可はある程度必要かもしれないですね、特許案件とかあるかもしれないですし。
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